6 孤立牌の理論

6.1 孤立牌同士の比較法

  • 比較する局面は面子候補不足で、他はターツ比較の時と同様とする。
  • テンパイに近い段階での受け入れを重視することから、目先の受け入れ枚数より、良形ターツを作る受け入れ枚数を重視する(例:二五八から打二八
  • リャンカン等の愚形複合ターツは準良形とみなす。基本的に準良形の受けが1種あれば単独愚形の受け2種、準良形の受けが2種あれば良形の受け1種に勝る。(例:一五(1)からは打(1) 例:一三四六八(2)からは打(2)。) 但し、愚形複合ターツの価値は手牌の他の部分によるところも大きいことは留意。
  • 3メンチャン>リャンメンだが、3メンチャンの受け入れ1種よりはリャンメン2種。
  • (主に面子候補充足以上の場合)部分的には有効牌でも他の手牌のどの部分より弱いパーツしかできない場合はそれを無視したうえで評価する。
  • 孤立牌もターツの時と同様に、他のパーツとの作用でコンボやフォローが生まれる。ターツととは基本的にフォロー、順子ととはコンボを形成するのも同様。他の孤立牌との作用はフォロー(例:一四一)とコンボ(例:一五一)の両方がある。

6.2 孤立牌と順子との作用

  • 4連形
    二三四五 三四五六 四五六七
    4種14枚で良形(うち二三四五は1種4枚、他は2種8枚で3メンチャンなので、三四五六四五六七二三四五
  • 中膨れ
    二三三四 三四四五 四五五六
    4種14枚で良形 良形以外の受け入れ枚数と、3メンチャン>高目イーペーコーより、4連形>中膨れ

これらは他の孤立牌よりはっきり強く、愚形ターツより残すことも多い。

これらに順子がつながった形(例:二三四五六七八二三四五六六七)は更に良形を形成する枚数が増えてより強くなる。

  • 端にかかった4連形、中膨れ形
    一二三四 連続形ターツがつくりやすい分孤立3より上
    一二二三 連続形ターツがつくりやすいことやイーペーコー目がある分孤立2より上

4連形、中膨れは別格であるが、順子付近の孤立牌は価値が高くなる。基本的に、同位の孤立牌同士であれば、順子との距離が近く、順子がより内側にある方が価値が高くなる。このうち、三三四五のような形を亜リャンメン形三五六七のような形を一間開きと言う。

これより、孤立3以上の、順子とのコンボを形成する孤立牌の優先順位は、
4連形 > 中膨れ > 三四五五四四五六三三四五三五六七四六七八三六七八一二三四五七八九四七八九三七八九

孤立2・8牌の順子とのコンボを形成する孤立牌の優先順位は、
二二三四二四五六二五六七二六七八二七八九

孤立1・9牌は、
一三四五(1・9牌だがリャンメンを作る) > 二一一二三一四五六一五六七一六七八一七八九

6.3 孤立牌とターツとの作用

孤立牌はターツによってフォローを受ける。ターツ同士の作用の時と同様、ターツとの距離が小さいほどフォローが大きく、等距離の場合はカンチャン(トイツ)の方がリャンメンよりフォローが大きい。カンチャンフォローとトイツフォローとの比較は、4枚形を作るものは4枚形が強いほうを残し(例:二四六六二四六八なので二六八二六六)、他はカンチャントイツとリャンカンとの比較と同様(カンチャントイツの方が価値が高い手牌なら三六八三六六)。

二三五七八二三五六三六六三六八三六七三七九三七七三七八三八八三八九三九九三

一二四五二五五二五七二五六二六六二六八二六七二七七二七九二七八二八八二八九二九九二

但し、一三四に関しては、一自体がリャンメンを形成しないこと、二引きの一二三四が強い(一二を引いてできるペンチャンより優先することも多い)五引きで一三四五ができることから、孤立一より優先することも多い。一二四一四五より強い(三引き時の形の差)。

一四四一四六一四五一二四一五七一五五一五六一六六一六八一六七一七七一七九一七八一八八一八九一九九一 < (一三四)

6.4 孤立牌同士の作用

スジ被りの孤立牌(距離=3)

一四 二五 三六

一四一四四
二五五二五二五六
三六六三六三六七

リャンカンを形成する孤立牌(距離=4)

一五 二六 三七

孤立牌が少ない手牌だとリャンカンができても結局外すことが多くなる為、残りの手牌によって価値が変動しやすい。

十分に孤立牌がある場合は、一四五六一五二五二四五六二六二二三四三五六七三七三三四五程度。

遠いスジ牌の作用

一四七二三と引いても一二三四七となり四七で受けが被っている。よって、一四七一四。また、一三四五七から一を切って二を引いてもリャンメン変化の多いカンチャンが残るフォローがある。よって、一三四五七二五二一三四五。このように、孤立7があると孤立1の価値が微減する。このことは孤立2に対する孤立8についても言える。

リャンカンを作る孤立牌のスジ牌の作用

一四五六八三を引くとリャンカンが出来る。このことから、一四五六一四五六八一五一切って三を引いてもリャンメンに変化しやすいカンチャンが残ることから)。また一三四五八六を引くとリャンカンが出来ることから、一三四五一三四五八二六。このように、孤立8があると孤立1の価値が微増する。

一四五五六 二五六六七 三六七七八

それぞれ三四五引きでリャンメン・カンチャンが出来る。価値は他の手牌によって変動するところが大きい。たとえば、面子候補不足で、他の孤立牌の価値が高く手がつけにくい時は、一四五五六三を引いても打一とすることになるので通常の孤立1よりも価値が低いことになる一方、面子候補が足りていて、いずれもリャンメン以上であれば、リャンメンを上回るターツができなければ新しくターツが出来ても無価値なので、一四五五六一を通常の孤立3のようなリャンメン以上のパーツを作れない孤立牌より残すことになる。

一三四五五 二四五六六 三五六七七

それぞれ二三四引きのリャンメン以上のパーツが出来るのに加え六七八引きでリャンメン・カンチャンが出来る。リャンメン・カンチャンを逃してリャンメンになるより、リャンカンを逃してカンチャンになる方が良形率が下がってロスが大きいので、一三四五一三四五五一三四五八

6.5 その他の孤立牌と他パーツの作用

一三四六八 二四五七九

それぞれ二五三六ツモでリャンカンができる。リャンカン2種>リャンメン1種より孤立2を上回る。一三四五一よりは先に切る。

二二三四六

二とすると一四ツモでリャンカン、二ツモでエントツ、三ツモでリャンメンをロス。リャンカン2種>リャンメン1種であるが、孤立3を切るロスも大きいので孤立3より上回るかは微妙。

孤立牌と他のパーツの作用については非常にパターンが多いが、いずれもこれまでやったような方法で対処できる。次回以降は孤立牌と他のパーツとの比較について挙げていく。

6.6 孤立牌とターツ落としの比較

基本的に一手で面子を作れるターツの方が孤立牌より優れているが、ターツ側の価値が低く孤立牌側の価値が高ければ逆転することも多い。

受け被りターツと孤立牌の比較法

受けが被っているターツは価値が低いので孤立牌より先に落とすことも多い。例えば一二四六から打一として、三を引いても内カンチャン(四六)、五を引いてもペンチャンをロスしたに過ぎず、リャンメンロスがある孤立2を切るよりロスが小さい。もっとも非ターツオーバーの手で一二四六から打一とするとシャンテン戻しなので一概にこれだけで比較できるとは言えない面もあるが、一二四六のような形がある2シャンテン以上の手が途中で変化せずストレートにテンパイが入ることは少ないので、巡目が十分に残っているなら問題ないとみる。

以上のことを踏まえたうえで優劣をつけると下のようになる。

一二四一二二四一二四五一二四四一二四六一三四四一三四六二五一二四五二一三三四三三五六六三五五六

受け被りターツの次に価値が低いターツは、ペンチャンや3つめ以降の単独トイツである。

ペンチャンと孤立3の比較

単純にペンチャンと2種の孤立3の面子化速度を考えた場合はほぼペンチャン有利だが、孤立牌を切って、ペンチャン関連以外の有効牌を引くと、再びペンチャンと何かを比較することになる。この時ペンチャンを落とすことになると、先に孤立牌を切ってしまっている分ロスが生じる(先にペンチャンを落とした方が有利)。ペンチャン関連以外の有効牌は、ペンチャン関連の有効牌より遥かに多い。

よってこれから、次に比較することになるパーツが孤立3よりはっきり強ければペンチャン落とし、そうでなければ孤立牌落としが有利とみる。例えばターツオーバーの形であれば、次に比較するパーツはそのペンチャン以上のターツになるのでペンチャン落とし(但し既にリャンメン確定のような、孤立牌を先に切っているデメリットがない場合は目先の受け入れをみてペンチャン残し)。ターツオーバーでなくても、次に比較するパーツが役絡み浮き牌や4連形、手をつけにくい複合ターツの場合はペンチャン落としが有利になる。

3トイツとの比較

愚形ターツとトイツの項で述べたような、落とすトイツがペンチャン以下のパーツで、しかも面子手のシャンテン数がチートイツのそれより小さい場合に限りトイツ落とし。後は孤立牌切り。

4枚形との比較

一三三五二四六八は弱いパーツだが、ペンチャンよりは優先されるので基本的に孤立牌切りがよいとみる。

4連形や中膨れとの比較

4連形や中膨れとなると他の浮き牌よりはっきり強く、ペンチャンとの比較ならまずペンチャン落とし、外カンチャンとの比較でもカンチャン落としでよいとみる。内カンチャンは外すと面子化4枚、リャンメン化4枚、リャンカン化4枚を失うので外すロスが大きいので残す。

6.7 孤立牌とターツ固定の比較

面子候補不足で手の内の浮き牌がいずれも強く、浮き牌より優先して切る単独ターツがなければ複合ターツをターツ固定(雀頭固定)することも多い。

ターツ固定、雀頭固定内の比較

ターツ固定はロスを少なくするのが原則なので、基本的にリャンメン含み複合ターツをリャンメン固定する。固定する優先順位は、複合ターツから2パーツ作るケースの少なさから 二二三二三三四四五四五五三三四三四四

単独トイツのない牌姿なら愚形含み複合ターツを雀頭固定もある。固定する優先順位は、同様に複合ターツから2パーツ作るケースの少なさから、 一二二一一二二四四>他。

リャンメン固定と雀頭固定の比較

両方考えられる手の場合の優先順位は、2・8牌以下を切って雀頭固定>2・8牌を切ってリャンメン固定>他の雀頭固定>他のリャンメン固定とみる。

ターツ(雀頭)固定と孤立牌との比較

トイツ数=2の場合、孤立3との比較なら2・8牌以下を切って固定選択、他は孤立牌切り。三三四五三七のような手のつけにくい孤立3以上の孤立牌が揃っていれば固定選択。

トイツ=3の場合、孤立3との比較で固定選択(但しチートイと面子手でチートイが面子手のシャンテン数以下の場合は孤立牌切り) 2・8牌を切っての固定なら三六三程度でも固定優先。

面子候補充足の場合

面子候補不足の時と異なり、面子候補充足時は孤立牌を残すことが少ない(打点絡みの場合はまた別)。孤立牌にくっついても受けではなく変化にすぎないからである。4連形のような強力なパーツであればターツ固定より弱い愚形ターツを落とすことが多いのもある。

トイツ数≧3で、面子手のシャンテン数が七対子のそれ以下の手なら、比較(1)で述べたようなリャンメン固定や2・8牌以下の牌を切る雀頭固定をして孤立3〜7牌を残す。

トイツ数=2の場合は孤立3〜7程度は切る。4連形や中膨れのようなパーツがあり、単独ターツが内カンチャン以上でリャンメン不確定であれば、比較(1)で述べたようなターツ固定をして残す(リャンメン確定形ならそもそもリャンメンを作る孤立牌自体が不要)。

4連形や中膨れであっても、愚形複合ターツを愚形固定してまで残すことはない。7連形や4連形+打点絡みのような非常に強いパーツであったり、愚形固定するデメリットが薄い場合は愚形固定もある。

面子候補過多の場合

(他に愚形ターツが残っている場合) ペンチャン<孤立3〜7牌 愚形ターツ<4連形、中膨れ
ターツを落としてもシャンテン数が落ちないので、より良形に変化しやすいように良形変化の豊富な孤立牌を残す。(他がリャンメンターツ以上であればこれ以上リャンメンターツを作る必要性が薄いので、ダイレクトの受けを残すターツ残し。)

6.8 手牌全体を考慮した孤立牌比較

孤立牌同士の比較法で述べたように、部分的には有効牌でも他の手牌のどの部分より弱いパーツしかできない場合はそれを無視したうえで評価する。

例えば、孤立1からできるパーツで最も強いのは外カンチャンの一三なので、残りのパーツが外カンチャン以上であれば不要牌になる。一四一であれば最も強いのは一三四一である。不要牌同士であれば、守備力の高い(将来他家の攻撃が入った場合に安全度が高い)牌を残したほうが良いことになる。一方、打点上昇の目がある孤立牌は(オーラストップ捲くり条件を既に満たしている場合を除き)このような不要牌にはならない。

一部の有効牌のみが有効牌としてみなされる関係上、部分的な孤立牌比較のときとは優先順位が変わることも多い。例えば、既にリャンメンターツ以上のパーツが4つあって良形が確定していれば、リャンメンまでしか作れない孤立牌は不要になる一方、四五六八八など、リャンメンより価値の高いパーツを作り得る孤立牌は七引きで使えるので残すことになる。

6.9 関連牌が切られている場合の孤立牌選択

基本的にリャンメンを作る牌の切れ具合を確認して切れている牌が多い方を切ればよい。場の安さ高さを考慮するのは読みの項で行う。

フリテン絡み

テンパイ以前は フリテンリャンメン>愚形である。よって、1を切っている孤立2>孤立1・2を切っている孤立3>孤立2。リャンメン受けの1枚を切っている4連、中膨れ形>孤立3が言える

6.10 雀頭そばの浮き牌

雀頭隣の浮き牌(リャンメントイツの形)

四五五五が唯一の雀頭)の四のような浮き牌は、愚形ターツ部分か孤立牌から頭ができるとリャンメントイツができることになる(リャンメンから頭ができる場合は打四としていても頭+リャンメントイツの形になるのでロスにならない)。更には三六引きの変化もある。よってそのようなパーツが豊富にあるうちは4連形や中膨れより強い。一方、既にリャンメン以上のパーツが揃っていて、三六引きのメリットが薄い場合はほぼ不要牌になる。

雀頭から距離=2(三五五のようなカンチャントイツの形)

孤立牌から頭ができることでカンチャントイツができる(ターツの場合は打三としててもカンチャントイツ+雀頭の形になるので ロスにはならない) リャンメントイツ形ほどの強さはないが、浮き牌が多い段階では準良形になる受けが複数ある。更に四引きや二引きがあるので同位の孤立牌よりはっきり強い。不要になる手牌はリャンメントイツ形同様。リャンメンにならないカンチャントイツ形やペンチャントイツ形も同様に扱う。

6.11 雀頭が無い場合の孤立牌選択

雀頭を作りやすい4連形や亜リャンメン形の価値が特に上がる、ターツオーバー時の愚形ターツより残す。他のリャンメンとの比較になった時の選択は手牌次第なので後述。

一三四一のような、雀頭を作りやすいパーツを作るような孤立牌の価値も上がる。但しこのようなパーツは、ターツは作りにくい性質があるので、手牌のターツを作る必要度(面子候補が足りていていずれのターツも十分である等必要度が低いほど価値が高くなる)や他のパーツの雀頭の作りやすさ(連続形ターツ等雀頭の作りやすいパーツが無ければ価値が高くなる)によって価値が変わる。

雀頭を作りやすい連続形ターツを作るような孤立牌も価値が高くなる。雀頭無しでもそのような孤立牌の価値は高いので優劣の変化自体はないが、雀頭有りだと殆んど通常の孤立5と変わらない五七八九のようなパーツがはっきり孤立5より強くなる。

一三四四五のようなパーツも雀頭を作りやすいので価値が高くなる。

二五一三四四五二
三六二四五五六三
三五六六七 は他の中膨れと同等
二一二二三五三六

6.12 1シャンテン時の孤立牌選択

1シャンテンから孤立牌同士を選択するような牌姿を、孤立牌にくっついてターツができることからくっつきシャンテンと呼ぶ。

孤立牌からターツが出来た時点でテンパイするので、リャンカン等の複合ターツや連続形ターツを作ることがメリットにならないことに注意(寧ろ有効牌が1種少ないことから 三七(3)からは打三か打七であり、裏目の五でも広くなることから二三四七(7)7からは打七とする)。

後はこれまでの孤立牌選択同様、基本的に単純な有効牌の量よりリャンメン以上を形成する有効牌の量を優先して打牌選択する。

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