プロに流れ論者が多い理由

麻雀プロ(特に連盟プロ)にオカルト雀士(流れ論者)が多いのは何故か

勝ち組の麻雀 麻雀日記 「ある連盟員の除名について

ジャスティス氏の連盟除名事件を受けて私も一つ。

今回の問題は、連盟の先輩プロのオカルト的戦術をブログ上で批判したことが発端となり起きました。相変わらずプロ麻雀界にはオカルトがはびこっているようです。

プロ雀士にもデジタル派(ここでいうデジタルとは、オカルト的なものを信じない、”非オカルト”であるというだけであり、打ち筋の傾向を示すものではないことに注意。手役を重視するデジタル派、読みを重視するデジタル派という打ち手も存在し得る。ひいいの麻雀研究 「流れ論」参照。)はもちろん存在します。有名なところでは、『デジタル麻雀の達人』の著者である鈴木プロ(日本プロ麻雀協会所属)、村上プロ(最高位戦日本プロ麻雀協会所属)、小林プロ(麻将連合所属)が挙げられます。いずれもプロ団体として最大規模の連盟プロではありません。実際、有名な連盟プロでデジタル派の打ち手を私は知りません。少なくともここに登場する連盟プロは、何らかの形でオカルトを肯定しているものと思われます(日本プロ麻雀連盟 「ブログ&SNS」参照)。

一方、ネット麻雀のトップクラスの打ち手で、流れ論を信仰している打ち手はほとんどいません。これは、ネット麻雀では戦績が管理されているからというのが大きな理由です。長期の戦績データを調べてみれば、そこに流れ論的な連続性を見出すことが不可能であることはすぐ判ります。ネット派よりリアル派の方が流れ論者が多いのもこの為でしょう。

プロのタイトル戦のシステム(成績評価法)も流れ論が蔓延する理由になっているのではないか

プロの公式戦も、戦績自体は記録されます。しかし、期間内での打荘数が非常に少ないものであり、運の影響が大きく実力を示しているとはとても言えないことは前にも申し上げた通りです。運の影響が大きいからこそ、結果論で何とでも言えるというのも流れ論が絶えない理由ですが、それだけではなく、公式戦の成績評価法もまたその原因になっているのではないかと私は考えます。

流れ論でよく言われるのは、「ついている時は押す、ついていない時は引く」というものです。手牌が良ければ押す、悪ければ引くであれば、デジタル的にも正しいと言えます。しかし、これまでの展開が良く、点棒を多く持っている状況のことを”ついている”というのであれば、麻雀には順位点が存在するので、寧ろついている時ほど守備的に、ついていない時ほど攻撃的に打たなくてはならないことになります(Beginner's Luck 「麻雀とは」参照)。

上の状況で”ついている”からといって押すのは明らかに誤りですが、これが東パツ、即ち順位点を考慮しなくて良い状況であれば手広い1シャンテンですので押す選択も十分考えられます。一方、いくら流れ論者であっても、(初心者でなければ)完全順位制のルールで、オーラス振らなければトップの局面で流れが良いからといって押したり、アガらなければラスの局面で流れが悪いからという理由でオリたりはしないでしょう。点棒状況判断技術が打牌選択に強く影響する場面においては、流れ論の介入する余地はないのです。

プロのリーグ戦のように、数十戦でのトータルポイントで評価するのであれば、半荘一回だけでなく、トータルでの点数状況を考慮することも必要になります。それ故、打牌選択の判断が変わることもあります。

リーグ戦の評価法は、ポイントが高かった上位数名が昇級(またはタイトル挑戦)、下位数名が降級というものです。よって、昇級に近い位置にいる人は昇級すべくより積極的に攻め、降級に近い位置にいる人は降級を回避すべくより慎重に打つことになるでしょう。もちろん、大崩れしなければ昇級できる人は慎重に打つでしょうし、その逆も言えますが、これはいわば、点数状況判断が打牌選択に強く影響をする状況なので、流れ論を信仰するかどうか以前に当然そのように打つことになります。昇級に近い位置にいるということは、これまでの流れが良かったことになりますし、その逆もまた然りです。よって、「ついている時に押す、ついていない時は引く」という流れ論的発想が結果的に有効になることが多くなるのです。

更に連盟のルールは、他団体に比べ順位点の影響が薄いものです。(協会、最高位はウマ10−30、オカ20、連盟は最大でもトップのウマが12(一人だけ原点超えの場合)、オカなし。)仮にウマもオカもないルールであれば、常に単純に自分の手格好と河の状況から押し引きを判断すればよくなります。よって、「ついている(手牌が良い)から押す、ついてないから引く」という流れ論的判断でも事足りてしまうのです。プロに流れ論者が多い理由は、実はこういうところにもあるのではないでしょうか。

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