平均実力雀士の何切る思考

出典:2008年11月1日発売の近代麻雀
東2局 南家 5巡目 ドラ 八
六六六七八八(2)(2)(3)(6)(7)678

mixiコミュニティ 【麻雀】何を切る? トピック「本日発売、近代麻雀より

余剰牌無しの1シャンテンに取らない理由はないので打牌候補は七八(3)のいずれか。この中でまず(3)は除外する。リャンメン確定に受ける打七、打八でも満貫〜跳満手が見込める以上、残り2枚しかない(ドラ表示牌に1枚ある)七引きからの跳満〜倍満の可能性を見て受けを減らす(しかも七引き以外の牌姿は他の選択と互角かそれより劣る)のは損である。

残ったのは七八。打七はドラドラ固定、打八としても三色不確定なので、「不確定三色よりドラ」という格言に沿って打七が一見有力そうに見える。しかしここで気をつけなければならないのは、これは単にドラドラと不確定三色の比較ではなく、ドラドラ(受け20枚中2枚という低確率でドラ3)とドラ1+高確率でピンフ+半分程度の確率で三色との比較であるということである。ピンフの1翻は通常の1翻より低めとはいえ、前者は平均で2翻ちょっと、後者は平均で2.5翻程度になると考えられる。また、受け入れでも打八が3枚多く、仮に最安目の九をテンパイに入れなくても1枚少ないに過ぎないので、九引きで安手のテンパイになることはデメリットではなく寧ろメリットまである。

ドラのポンテンに取れないという欠点はあるが、メンゼンでも十分広くテンパイに近い手なので仕掛けづらいデメリットは薄いとみる。(仕掛けられるメリットはもっとテンパイに遠い段階でより重視すべき。)

以上の理由から打八が正着とみるが、近麻の村上プロは打七を主張して実際に後輩が打った打(3)を否定、MIXIの何切るコミュでも打七と打(3)が多数を占め打八を主張していたのは僅か数名であった。しかしこのことは私にとって出題された時点で予想できていたことであり何も驚くことではなかった。この打八は以下の理由から平均レベルの何切るコミュにおいて少数派となりやすい性質を兼ね備えた選択であることを経験から見出していたからである。

  • 切りたい牌がドラであり、尚且つドラを切らずに済む選択が容易に思いつくということ このような牌姿を出されるとどうしてもドラ切りは誤打なのではと思いがちになる。
  • ドラが比較的使いやすい一方、手役は不確定であるということ 現代麻雀は手役よりドラとよく言われる。しかしこれは一般論であり、実際にはあくまで牌姿から比較されねばならない。ドラドラもメンゼン三色も、額面上は同じ2翻であるのだが、多くの打ち手は好き嫌いでどちらかを過大、過小評価しがちであるというのもある。
  • 八はこの手のMAXを否定(MAXの可能性を残すのが打(3))するうえに、MINの可能性が残ってしまう(MINの可能性を否定するのが打七)ということ。多くの回答者は受け入れの一部だけで優劣を判断しようとするので、どうしても打八のような手は中途半端な手に映りがちである。しかしこれだけでは中途半端な打牌なのか、バランスのとれた打牌なのかを理論的に判別することは不可能である。

この問題と似たような傾向を持つ問題が過去にもあった。

出典:HeartLand版 「真説!何を切る? 2002年12月問題
南1局 東家 5巡目 26,000点 ドラ4
二三三三四五(4)234466 ツモ(2)

上の問題と非常に類似している。比較すると、余剰牌を作らずにドラドラを確定させることができないことから打点でも受け入れでもはっきり打4が有利であると言える。だがこの問題は更に、余剰牌が残る1シャンテンに受ける選択肢も多くある(ひたすら良形重視の(2)(4)落しを選択する打ち手も考えられる)ので、上の問題より更に打4がマイノリティーになると予想される。実際、全回答者45名中(百分率から構成員は45の倍数であることと、掲示板の書き込み量から推定)打4は何とたったの1名である。まさしくこの手のドラ切りは盲点になると言えよう。

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