牌効率とは何か(2)

前回の内容に沿えば、例えば七対子狙いの時に山に残っていそうな牌を残すことも、牌効率の一種と言える。これは一般的な定義からすれば非常に範囲が広い特異なものである。しかし、“効率”に基づいているからと言って、打牌選択に関するあらゆる技術を牌効率と称してはカテゴライズの意味が無い。では、どのような技術が、牌効率以外の技術なのであろうか。

例えば、ベタオリをしている際の打牌選択。これを、牌効率から打○〜と表現するのは流石に不自然であろう。ただこれも、オリるうえで最も効率の良い選択をしていると言うことはできる。

そうすると、これまで牌効率と称していたのは、攻めるうえで最も効率の良い選択をする技術とも言い換えられる。そしてこう言い換えた方が分かりやすい。牌効率という言葉が、麻雀打ちの間で色々な意味で用いられ混乱を起こしていたのはまさに、“効率"という言葉が何を指しているのか分かりにくかったからなのである。牌効率という言葉が誤解を招きやすい以上、和了に向かう攻めの技術があって、その中にスピード重視と打点重視(あるいは将来の守備重視)の選択があると捉えた方がカテゴライズするうえで適切ではないだろうか。

攻めの技術、守りの技術があるとすると、今後は攻めるか守るか(あるいは他の選択か)を判断する技術があることになる。これが“押し引き判断”である。基本的に他家のテンパイが入ってない段階では押し、テンパイが入った段階で押しか引きかを選択することになる。和了や放銃に直接結び付きやすい選択ほど、戦績に影響を与える。押し引き判断こそが麻雀の要とされる所以である。

但し、押し引き判断→打牌選択だけでは不十分な局面もある。それは、オーラス等の、点数状況が選択に大きな影響を与える場合である。

他家との点差に対して残り局数が十分にあれば、点数状況を考慮するとしても、押し引き判断や打牌選択の段階で選択に適宜補正を加える(リードしている時程押し引きは引き、打牌選択はスピード寄り。逆も同様)やり方で大体は事足りる。しかしオーラスとなると、配牌の時点で自分の置かれた点数状況を把握しておかないと、それに応じた打牌選択を行うことは困難、言うならば目的を認識する必要があるということになる。一方、残り局数が十分に残っていれば(『科学する麻雀』によれば東南戦の南2あたりまで、無論点数状況に特に大きな差があればそれ以前でも考慮に入れるのが望ましい)そこまで気にかけずに、この一局の収支期待値を最大にするように打つことを目的にすれば良いと言える。

選択までの手順をまとめると、目的の認識→押し引き判断→打牌選択となる。選択の合間に毎回抽選(フーロ判断、和了判断も)が入り、それを繰り返して麻雀という一つのゲームになる。つまり打牌選択の技術をカテゴライズするなら、まず@目的を認識する技術A(その目的を認識したうえで)押し引き判断を行う技術B(その押し引き判断に従って)打牌選択をする技術(フーロ、和了判断含む)の大きく三つに分けられ、Bの中に攻め、守り(もしくはその他)の技術が含まれることになる。また、打牌選択の判断要素に含まれるものの中で、公開情報から非公開情報を推測したものが“読み"であり、その内容によって@ABの何れかに分類される。

どんな技術がどこに分類されるかを明確にすることによって、実戦で必要な技術を使いこなすことが容易になる。これから戦術論を記すうえで、内容の精度はもちろん、読者が知識として蓄えやすく、実戦で引き出しから取り出しやすいものにすることを心掛けたい。

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