期待値と体感値

以前取り上げた牌姿

南家 5巡目 ドラ(3)
四四五五六六(1)(1)(4)34566

私は打6が最善で、打(1)は有り得ないと主張しましたが、Meaningless氏のシミュレーションの結果は、「打6が最善だが、打(1)が打3や打(4)に比べて劣っているわけではなく、有り得ないというほどではない」というものでした。しかし、この結果自体は私にとって特別意外なものではありませんでした。

何故なら、打(1)でも(4)へのくっつきで高打点の手になり、ソーズ引きからの二段階変化もあるので、収支のうえではそこまで大差にはならないと考えていたからです。

ですが、ピンズ変化がタンヤオがつく分三色目が消え、ソーズの二段階変化よりは即良形テンパイする方が優れているのは明らかな以上、打(1)を打6より優先する理由が見当たりません。これに対し、打3はリャンペーコーの可能性、打(4)はテンパイであるという、打6より明確に優れた一面もあります。よって、理屈のうえではやはり、打(1)は有り得ない選択なのです。

但し、このように、実際の期待値と、私達が優劣をつける際の“体感値“とは結構ズレがあることには気をつけなければなりません。例えば打牌候補に、A:浮き牌の5切り、B:12とあるペンチャンの1切り、C:12とあるペンチャンの2切りがあり、AとBは微妙だが、CはBよりはっきり劣るので有り得ないと言った場合、体感的には、A>B>C またはB>A>Cとなりますが、期待値的には、B>C>Aであることも有り得ますし、寧ろB>A>Cであることよりも多いのではないでしょうか。何故なら、BとCは、期待値の面では微小な差であっても比較が容易であり、AとBは直接比較することが難しいからです。

一見ミスが目立つけれども結果を残している打ち手がいるとすれば、それはこのように期待値と体感値のズレがあるからではないでしょうか。その打ち手は、現段階では微妙とされているけど、実際の期待値的には結構な差がある打牌選択について、無意識のうちに高い精度で正着が打てているのかもしれません。

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