第五章 「七対子」

夏休み。普段から暇な学生が更に暇を持て余す時期である。私ネオマタもその典型的なダメ学生の一人、今日も雀荘に顔を出した後自宅でPCに齧り付いている。

今ネタ探しも兼ねて何切る問題をやっているところである。トンパツの西家で6巡目である。

六六七(6)(7)445567788 ドラ3
元ネタはここ「HeartLand版 真説!何を切る? 2007年7月出題分

タンヤオ七対のイーシャンテンである。普通、七対のイーシャンテンに取れるのなら、面子手狙いが相当強くない限りは取るべきである。だがこれはどうだ。面子手狙いであればタンピンに一盃口、そして567と678の三色がある。また、全ての赤5引きに対応できる。まさに、様々な(現実的である)可能性(※第一章参照)を秘めた手である。この手を2シャン戻しをせずにどんな手で戻すというのだろうか。

と、いうわけで七対のシャンテンには取らない。となると何を切るか。六を切ると先にソーズを引いたとき遊び牌が出来る。ソーズから切れば六六七の形が残って完全イーシャンテンになる。ではソーズで何を切るかになるが、受けが最も多いのは48で、36ツモ時に三色目が残る4の方が強い、4を切るとソーズを縦に引いた場合(78ツモ)三色目が消えるというデメリットがあるが、36の方を引く確率が高いのだから前者を優先すべきなのは言うまででもない。

ククク、完璧だ、完璧過ぎる。精密な理論派デジタル雀士の私にかかれば、こんな何切る問題など朝飯前なのだ。おっと、朝飯どころか昼飯も食ってなかったりするぞ。この問題には多くの回答が寄せられており、回答構成の比率がグラフで示されている。さあ、打4はどれだけの支持率を集めたのであろうか。

4…3.6%

…ちなみに、打5と打8は誰も選択しておらず(打6はいるのにw)、打4は選択された打牌の中で最低の支持率である。まるで選挙に出馬したはいいが一つも議席を得られなかった野党である。

「…なんでやーっ!」

私は思わずリアルに大声で叫んでしまった!

「あうう、お兄ちゃんうるさい。。」

おっと、いけないいけない。家には私一人で居るわけではなかった。声の主は真琴。私の妹である。麻雀バカの兄の悪影響で真琴も麻雀にすっかりはまっている。本来雀荘にいけない年なので普段はゲームかネットでやっているのだが、たまに「鍵の音」に遊びに来るくらいだ。麻雀以外の趣味は漫画を読むこと(勿論麻雀漫画もよく読む)。女の子らしく対子系の手を好み、特に役満には目がない。

兄と趣味を共有して楽しむことができる妹というのは、今時珍しい存在であろう。そう思えば、生意気なところもあるけれど、可愛らしくもある存在だ。

 

…次章へ続く。

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