これまでの牌効率は、基本的にメンゼンリーチを目指す場合についてのものであった。今回からは仕掛けた場合、あるいは仕掛けることが前提の場合の牌効率について。
毎回メンゼンでテンパイすれば麻雀簡単なのですが、そうは問屋が卸しません。のような完全シャンテン形でさえ、テンパイまでに平均6〜7巡もかかるのです。メンゼンでテンパイするというのはそれだけで運がいいことなのです。
ですから、仕掛けが効くことは非常に重要です。仕掛けて和了するには役をつけて1ハン縛りを解消する必要があります。よって、手役を考慮した牌効率論もここで述べます。
鳴いても役になる手役が確定することで、3シャンテン以前→2シャンテン→1シャンテン→テンパイというテンパイまでのステップ全段階で、鳴けることによってステップの成功率が増加します。前にも申しましたように、テンパイに近づくにつれ有効牌が減って成功率が減っていくので、難しい方の成功率を高めるほうが最終的な和了率が高まるのです。
よって、序盤でテンパイに遠い段階であれば、単純な受け入れやシャンテン数より手役の芽を重視するケースが増えるのです。(同様の理由で、以後のテンパイまでの進みやすさやテンパイになった時のあがり易さの為に良形になり易さを重視することも)手作りは高打点を狙うためだけの技術ではありません。寧ろ1ハン縛りを解消して和了率を高めるための技術として有効なのです。
では、仕掛け(手役)を考慮した場合、メンゼン限定時と牌効率は具体的にどう変わるのでしょうか。多くの場合は同じですが、違ってくるケースを挙げてみます。
大抵の場合は役に絡まない1・9牌、メンゼンでの和了が厳しく孤立役牌が複数あるケースでは役に絡まない愚形ターツや3〜7の中張牌より優先されることもあります。
例: →打
役牌かクイタン、稀に七対子。
役牌の重なりを期待して孤立役牌を残すくらいですから、役牌は基本1鳴きです。役を確定させる鳴きは急所を鳴くのと同等です。鳴かないのはメンゼンでも十分早い上に高打点が見込める時か、どうしてもメンゼンで高い手に仕上げないといけない場合くらいです。
ポンもチーもできるからです。
例: →打
また、仕掛けが効く分、愚形ターツを浮き牌より優先するケースも増えます。
仕掛けることが前提の手は、手役絡みの愚形ターツを強いターツとして固定して他を補強することになります。メンゼン限定の牌効率では、愚形を愚形のまま固定することは滅多にないことです。
例: →打
面子オーバーの時は弱いターツを落として他のターツを強くすると述べましたが、他のターツを強くする牌以外にも、手役の芽となる牌を残すケースもあります。染め手に行けるだけの面子候補が足りていれば他の色のターツ(場合によっては面子を落とすことも)を優先的に落としたりするのがこれに当たります。
テンパイに遠い段階から仕掛けることを躊躇する人が多いようですが、テンパイに遠い手だからこそ仕掛けていかなくてはならないのです。仕掛けていてもオリきれるケースは少なくないです。どうしても和了できそうにない状況になってから守備を考えても遅くありませんし、早和了りすることで防げる失点もあります。攻撃は最大の防御でもあるのです。