手役・ドラ構成の原則

手役、ドラに関して押さえておくべき原則について。

日本麻雀にはリーチが存在する為、メンゼンであれば他の手役が無くても和了できる。また、ドラが1枚で1翻と極めてコストパフォーマンスに優れている為、役がなくともドラがあれば高打点にすることは容易である。(裏ドラ、カンドラ、赤ドラがあるルールなら尚更である。)よって、手役を狙う技術は、メンゼンで素早くリーチが打てるテンパイを組む技術やドラを使いこなす技術に比べると利用頻度は少なく、収支に与える影響は低い。よって、手牌が与えられた時、どんな手役を狙うかより、どこで面子を作るか、メンゼンでテンパイできそうかどうかを先に考えることになる。(これがリーチが存在せず、和了するには手役で一定以上の点数にしなければならない中麻のようなルールであれば、どんな手役を狙うかを先に考えることになる。)その為、当戦術論でもまず、手役を考慮しない、”どこで面子を作るか”という面子構成技術について先に記述した。

  • 手役やドラを考慮しない面子構成技術に従って(いわゆる、手なり)も手役やドラ使いを狙えるのであればそうする。

これは言うまでもない。よって同位のターツや孤立牌同士の比較ならドラや手役絡みを優先し、受け入れを減らさずに手役への変化をみることができるならみる。問題はドラや手役によって優先順位が逆転するケースや、ドラや手役同士の比較をする場合である。当戦術論においてもそのようなケースを中心に扱う。

  • ドラや手役の価値は、手牌内の他のドラや手役の有無によって変化する相対的なものである。

得点計算の都合上、満貫になるまでは1翻で打点が2倍になるが、満貫以降は打点上昇の効率が悪い。よって、他にドラや手役が無い手であれば手役、ドラ使いを重視するケースが多い一方、既に役確定で満貫あるような場合は新たにドラ使いや手役を狙うメリットは薄い。(もちろん点棒状況に拠るところもあるが、基本的に、最速でも満貫クラスの手が見込めるのであれば点棒状況に関わらずそうした方が良いケースが大半である。)

  • 手役は確定しやすいものを狙う。(同程度に確定しやすければ打点(翻数やドラの使い易さ)が高い方を狙う。)

手役同士の比較する場合の原則。余程打点差がある場合を除き確定しやすい方を優先。これはドラと手役、手役狙いか速度優先かとを比較する場合についても言える。余りにも不確定な手役を追うことは稀であるし、逆に既に確定している手役を崩すことも同様である。確定しているとは、全体役なら全体役を構成する四面子一雀頭の候補が揃っている場合。部分役の場合は基本的にターツが順子化した場合に手役が崩れない場合を指す。部分役はターツが刻子化や雀頭化した場合に崩れるケースもあるが、そのような場合も確定しているとここではみなす。(例:一二(1)(2)(3)(5)(6)123777一二ツモでは三色が崩れるが確定しているとみなす。77777北となれば確定形だが、当然前者の方が優れているので確定していないことがデメリットにはならない。)また、確定していなくても、ツモによってそれぞれ別の手役が狙える形(両天秤と言う)は強いので、両天秤形を残さないだけのメリット(一方の役に決めてしまった方が受けが広く、打点でも劣らない等)が無ければ原則残す。

  • ドラ使いも手役も、確定させやすいように手作りする。

上記の内容とも関連するが、他と比較する場合ではなくても確定させやすいように打つことは重要である。例えば上家から出た牌を仕掛ける場合、仕掛け方が複数あるのであれば基本的にドラや手役絡み面子を晒す。三四四五六(ドラ三)とあって五が出た場合、曲五三四で鳴けばもう1枚ドラを引いても使える。ドラ3でなくて345三色狙いの場合も同様。手役狙いの方は一見差がないように見えるが、何らかの理由で出来面子をスライドさせた方が良い場合もある((4)(5)(6)とあって(7)を引き、(4)は他家に通っているが(7)が通っていない等)。手役絡みの面子を晒すのはこのような場合に手役を崩さないためである。

  • 多くの場合で、手役よりドラの方が重要。

1枚だけで1翻であり、手役よりドラ使いの方を確定させるのが容易である為。手役を狙う場合にもドラが使い易いかは重要な判断要素であり、出来るならドラが使い易いように手作りをすべきである。但し、これはあくまでドラ使いの方が確定させやすいことが一般的に多いというだけであり、確定している手役であれば話は別である(鳴いても1翻縛りを満たす手役優先)。ドラを使わなくとも打点十分、メンゼンでは遠いのでドラが使えないが鳴いて特定の手役を狙わなければ和了自体が困難な場合も同様。

  • 手役を狙うかどうかの基準は、手役の確定しやすさ(手役絡みの面子候補の揃い具合、崩れにくさ)だけでなく、手役絡み以外の面子候補の揃い具合にもよるところが大きい。

確定しやすい手役を狙うという内容とも関連する。例えば三色は三面子必要だが、ターツオーバーではない手牌で、既に三色絡み以外で面子候補が二組あるのであれば、三色を作るためにはシャンテンを戻してまでターツを崩すことになる。どうしても点数が必要な場合でなければこのような手作りをすることはまずない。逆に言えば、面子候補が揃っていない段階であれば、遠い(確定しづらい)手役であっても出来ることもあるので視野に入れる。(もっとも、出来る可能性はやはり低く、このような手役が出来る場合は大抵手なりで打っていてたまたまできる時なので、意識しておく必要性自体は低い。)手役絡みの孤立牌を残し、その孤立牌がターツしたら別のターツを落とすように、シャンテン戻しをせずに(受けは減ることもある)高い手へと変化させる手筋のことを渡りを打つ渡り打ち)と言う。麻雀における手作りは原則速度を最も重視することになるので、無理なく(テンパイ速度をそこまで落とさずに)手役を狙う技術が重要になる。

他の手役に関しても、基本的に面子候補不足になるようなターツ落としや、面子候補が揃ってない段階で特定の役のみを狙って打つ(決め打ちと言う)ことはやらない。特に残りのターツや孤立牌が十分に強ければ尚更である。但し、手役の中でも特にコストパフォーマンスが良く、確定させれば自在に仕掛けていくことのできるタンヤオと一色手に関しては例外も多い。

  • 出現頻度の高い手役ほど、それを作る技術の巧拙が戦績に影響を与える。

当戦術論でも出現率が比較的高い手役について重点的に解説する。出現率が低く手作りについてほとんど触れなかった手役についても、基本的にここの項や他の手役作りに関する項、あるいはこれまで述べたきた内容を参考にすれば狙うかどうかの基準が見えてくるであろう。

例:面子候補が揃っていない段階で一一11(1)とあれば三色同刻の種として(1)は残す。

例:ピンフ・イーペーコー・リーチ>愚形リャンペーコー。

例:良形ホンイツ役牌×2>単騎待ちのホンイツ小三元。役牌×2だけなら基本的に小三元に受ける。

例:もし他に2つカンしていれば3つ目もカンして三カンツを付けるが、それ以前の段階で三カンツを”狙う”ことはまず有り得ない。

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