役牌トイツ(場風牌・自風牌・三元牌・連風牌)

三枚揃えるだけで1翻(連風牌の場合は2翻)つくので非常にコストパフォーマンスに優れている。仕掛けて1翻作る場合にタンヤオと並んでよく用いられる。重なった場合に仕掛けることができるという、役に絡まない数牌に無いメリットが存在する為、孤立役牌は数牌の完全下位互換となることがない。故に、手牌によっては孤立役牌をターツより優先するケースもある。この為孤立役牌の扱いは非常に難しく、牌効率を体系化するうえで最も大きな障壁でもある。その為扱う内容が他の手役より多く、抽象的な内容も多くなることは予めご了承いただきたい。

役牌トイツ落としの選択

役牌トイツはポンが利くので受け入れは2×4=8枚相当。よって役牌トイツと任意の他のトイツとの組み合わせは10枚相当になる。実際は必ず役牌が鳴けるとは限らないのでこれよりは減るが、リャンメンと同等あるいはそれ以上の強さを持つパーツである。また、テンパイ時の待ちが字牌絡みになった場合も和了率はリャンメンに匹敵する。

故に、和了に向かう場合に役牌トイツを落としていくケースは少なく、下に挙げたようなケースに限られる。

  • ピンフ確定の1シャンテンになる場合

このケースでも役牌トイツを残すメリットが大きければ残すこともある。

例:ドラ(8)
三四四五r五(r5)(6)(7)(8)(9)11中中 →打1
鳴いても満貫以上が見込め、中をポンした形が非常に手広く必ずリャンメンになることから打1が有力。跳満以上を狙うなら打中

例:ドラ北
一一二二三三(4)(5)(8)(8)45發發 →打(4)
発ポンに加え七対子の受けもある。(7)引きの場合に二度受けにならないのと赤ツモで打(4)

  • シャンテンを落とさずタンヤオ確定になる場合

確定しやすい方を優先するという原則どおり。

  • 上位役に渡れる場合(ホンイツ⇒チンイツ等)

確定させやすさが同等なら打点が高い方を選ぶ。

ドラ9
233456678889發發 →打3

これぐらいならホンイツでも打点十分で即テンパイした場合の待ちに大差あるので打3

ピンフ確定の良形1シャンテンの時点でようやくリャンメンの方を優先して残すのであるから、それより役牌トイツ残しが有利で、愚形ターツが存在せず、他のトイツにも手をかけづらいのであればリャンメンターツを落とすことになる。

ドラ北
二三六七八(4)(5)(6)23白白發發 →いずれかのリャンメン落し

ドラ一
一一三四四五六5r5(7)(8)(9)中中 →打四

二でもテンパイする。

役牌トイツを1鳴きするかどうか

ほとんどのケースで1鳴きが正着である。(役牌トイツに限らず、手役を確定する場合はほぼ仕掛けるべき。)

例外は以下のようなケース。

  • 鳴かなくともメンゼンで早いテンパイが組めることが期待でき(序盤で役牌頭でリャンメン×2以上の1シャンテン)、鳴くと安くなる場合(鳴かなければ確実に高打点になる手なら尚スルーが良い。)
  • 七対子1シャンテンの場合(これも他の役絡みで仕掛けたほうが高打点が見込めるなら仕掛ける。)
  • 国士狙いの方が有力になるぐらい他の形がバラバラな場合
  • 上ほどバラバラではないが、頭も面子もドラも無い手で既に中盤過ぎであったり、トップ目等特に放銃したく無い場合

面子候補が不足していてテンパイまで遠い手であっても基本的に序盤なら役牌トイツは1鳴きする。後々ツモに恵まれ面子候補が揃った場合に、役牌を既に鳴いているのとそうでない場合とでは和了率に大幅な差が出るためである。序盤であれば守備を考慮する必要性も薄い。(ツモが悪く中盤過ぎても手が進まないのであればその時に守備を考えればよい。)

役牌バックの仕掛けをするべきか

面子候補が揃っている場合

ドラ中
一三九九6788中中 チー曲(7)(5)(6) 上家が打二

二をチーすると後付けが見え見えになってしまいます。鳴くべきでしょうか。テンパイする牌を鳴くべきかどうかは、テンパイから手変わりを待つかどうかと同様の考えを用いることができます(『科学する麻雀』参照)。つまり、二をスルーした場合、二中ツモまたは中ポンで、より和了しやすい形に手変わりしたと言えるわけです。ですが、結局手変わりは実質2種程度(中に関してはどこからでも鳴けるので2枚×4で2種で合わせて3種と考えることもできるが、実際は二をスルーしても中は出やすい牌ではないので実質それ以下となる)になります。2種しかない手変わり(しかも打点変化はなし)を待ってよい巡目は存在しないので、これは常に二を鳴くべきです。

ドラ白
二二三22277白白 チー曲(2)(3)(4) 上家が打一

科学する麻雀』では、一が出た場合チーテンに取るべきという記述がされていましたがどうでしょうか。

同じ理論を用いて考察します。今度は一二四7白ツモまたは二7白ポン四チーが良形変化となります。(一応二7ツモでツモり三暗刻になりますが、微々たるものなので結論には影響しなさそうです。)仕掛け易さをどの程度と見積もるかによりますが、8種〜10種程度の手変わりがあると考えられます。これなら6巡目程度までは一はスルーし、中盤過ぎなら鳴くのが良いでしょう。

ドラ發
九九349發發 ポン一一曲一 ポン(9)曲(9)(9) 上家が打2

今度は25發ツモ發ポンに加え、178ツモでチャンタ、34ツモでトイトイ、9ツモならトイトイに加えて混老頭、三色同刻もあります。これも序盤はスルー、中盤過ぎはチーテンが良いでしょう。これは上に挙げた、手役の可能性が消える為に鳴かないケースでもあります。尚、九が出た場合はポンして打4とします。

これだけ極端なケースでも、中盤過ぎでは鳴いた方が良いのですから、他家から見て役牌バックか判らない場合や、役牌以外の手役が見込める両天秤の形、面子、雀頭候補は十分足りていて2シャンテン以前のような場合ならまず仕掛けて構いません。絞られるという理由で鳴かないという選択はほとんど考える必要がないことが判ります。

絞られる場合に関しても、通常の鳴くかどうかの基準と同様に、巡目と手変わりの質と量から鳴くべきかどうかを判断すべきということを押さえておきましょう。

面子候補や雀頭候補が揃っていない場合

もちろん役牌は鳴くべきですが、他の牌を鳴く場合は単純に速度が上がっているとは言えない。鳴けば面子候補や雀頭は作りにくくなるからである。役牌以外で鳴くとすれば特に処理しておきたい愚形ターツ等の急所だけにするのが良い。(ドラ絡みや二度受けの形なら尚更処理しておきたい。)これは巡目(序盤ほどスルーのケースが多い)や他の面子候補の揃い具合(揃っていなければいないほどスルーのケースが多い)に拠るところが大きい。

1巡目 ドラ五
一六(1)(2)(2)(9)358白發中中 →中のみ仕掛ける

5巡目 ドラ北
二四六57(2)(4)(6)(7)(8)(9)中中 →中6のみ仕掛ける 他は中盤過ぎあたりで仕掛ける((5)は雀頭候補も作りにくくなるので微妙)

これは河や他家の進行状況に拠るところも大きい。

バック仕掛けをする上で他に気をつけておくべきことは、役牌トイツは刻子化させることが和了の為の必須条件なので、役牌トイツは雀頭として扱うことができないということである。

四四五445(2)(3)(4)中中 チー曲768 →打五5

雀頭候補二組”の形を維持する為に打五か打5。形で打四4としないように注意。


孤立役牌の扱い方については次回以降。

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