鳴いても高打点が見込めるのでコストパフォーマンスが良く、テンパイに遠いところから強引に染めていくこともしばしばある。その為、一色手を狙うかどうかの判断が難しい局面も多々ある。今回は、その判断が難しい染め手狙いについて、できるだけ明確な判断基準を設けることを試みる。
(1)染め色の数牌+字牌(2枚切れ字牌除く)が10枚以上あり、面子候補が4組以上存在する。
(2)非染め色に面子が無い。
非染め色に面子があって染めにいくのは、染めなければ安手愚形濃厚で、染め狙いならどこからでも喰い仕掛けが効いて高打点も見込める場合くらいである。
例: →マンズ落とし
(3)非染め色に手を掛けづらい強いターツ+トイツが2組以上無い。
1つだけであればツモによっては強いターツを落としてまで一色手に渡れる場合もあるし、ターツオーバーの場合や、非ターツオーバーだがメンゼンでは遅く他に手役もない場合は、非染め色の弱いターツを1つ落としつつ、ツモによって更にもう一方の非染め色のターツも落として結果的に染まることも有り得るが、手を掛けづらいターツかトイツが2組以上あるのであればもう染め狙いは無理筋ということになる。
例: →打
マンズは10枚あるが不確定とはいえ純チャン三色の1シャンテンでもある、流石に手をつけるわけにいかないので打。
(4)他の鳴いても役になる手役(役牌等)+ドラが2枚以上無い。
染めなくても最低でも3,900点以上確定で満貫以上になることも多いので無理に染めなくてもよくなる。もちろん、染めてもそこまで速度が落ちないようであれば染める。
例:6巡目程度 ドラ
ポン
染めなくても最低3,900点で満貫になることもあるのでこれくらいなら打。ただテンパイに取ると2,000点になってしまうツモは巡目が深くなければテンパイ取らずで染める。マンズ部分が愚形ならマンズ落し。
(1)(2)(3)(4)を満たす手牌であれば染め一直線で構わない。(は客風)のように非常に手広く(マンズは何を引いてもリャンメン以上のテンパイ)、鳴くと安くなってしまうような手であればなるだけメンゼンで進めるが、そうでなければ手が進むものはどんどん仕掛けていって良い。
但しこれは、”一色手に決め打ちできる”条件である。実際は(2)(3)(4)のいずれかの逆、即ち、一色手を見切る条件を満たさないうちは染め手に移行する可能性が残っていると言える。このような場合に一色手を見るか、あるいは見切るか、もしくはある程度までは両天秤で進めていくかの判断は難しい。どのように考えていけば良いだろうか。ここで、一色手に決め打つ条件を条件A、見切る条件を条件Bとする。
例えば他色にターツがあるのでここが面子化すれば条件Bを満たすことになるが、先に最も多い色の牌や字牌をツモった場合や他家から鳴ける牌が出た場合は一色手に持ち込むほうがメンゼンより速度で勝りそうな手牌であれば、条件Aを満たす頻度が遥かに多いことになる。(条件Bを満たす場合はまさに特定のターツが面子化するツモだけだが、条件Aを満たすツモ(あるいは鳴き)は何通りもある。)このような場合はこの時点で非染め色のターツを先に落としてしまって染め色の孤立数牌や生きている(2枚以上切れてない)孤立字牌を抱えたり、多少染めるには面子候補が足りない段階から客風を仕掛けるなど一色手に決め打つような仕掛けをするのが良い。これもテンパイに近い段階(条件Aを満たした段階)における受け入れを重視するという原則と合致する。どちらを満たすケースも相応にあるのであれば孤立字牌を残してまで決め打ちすることはせず、今後のツモによってどちらにでも移行できるように構えるのが良い。
多い色の牌の枚数が多いほうが条件Aを満たしやすいが、そればかりではなく他の色の形がどの程度整っているか、即ち条件Bを満たす可能性がどの程度あるかも同様に重要である。前者は多くの打ち手が認識できているが、後者を見落としがちな打ち手は多い。面子が一つも無くターツも少ないような手であれば条件Bを満たすことも少ないので、少ない枚数から染めを見ることも多い。(一色手以外で和了するのが困難というのも大きい。)序盤でこのような手で、他に特に手役も見えないようであれば、最も多い色の牌や孤立字牌は残してうまくいけば染め手になる可能性を残しておきたい。
簡単に言えば一色手になった場合と他の面子手になった場合の打点の比較である。役牌トイツが2組(もしくは役牌トイツ1組+生きている字牌2〜3種)あったり、ドラが染め色や字牌であれば容易に満貫クラスの手になるので尚積極的に染める方が良くなる。特に役牌トイツ2組の手はなるだけホンイツやトイトイ、ドラ等で満貫クラスの手に仕上げたい。一方、染めなくても満貫クラスが見込めるような手や他色にドラや赤がある手であれば無理に孤立字牌を残したりせず、役牌+αを本線にしつつツモが良ければ染める程度でよい。孤立役牌を残すかどうかを選択する場合も、孤立役牌が重なることでホンイツに移行する可能性が残る、即ち条件Aを満たしうる可能性が出てくるときは尚役牌残しが良くなる。
西家 2巡目
→打か
ほぼホンイツで仕掛けていく。一応トイトイもあるので打か打。ほとんどホンイツのみどまりの手になるが、他に和了する方法が難しいのでやむをえない。
4巡目
→マンズのリャンカン払い
ピンズか字牌でターツ(トイツ)が出来れば条件Aを満たすし、速度や打点面でもホンイツ有利。字牌より先にもうマンズのリャンカンを払っていく。
6巡目
→打
ピンズが10枚既にあり容易に条件Aを満たしそうだが、へのくっつきや引きで条件Bを満たすケースも無視できない(手役もタンヤオや三色がある)。決め打ちせずに打。
配牌
→打
孤立役牌かペンチャンかの選択。ペンチャンから落として役牌が重なればホンイツからの満貫手になる可能性も出てくるので打。
8巡目
ポン
もちろんアガリトップでもなければ染め手に渡る可能性は残して打。
東場 東家 配牌
→打
面子構成しやすさだけを考えればやが一番不要だが、ソーズのホンイツやイッツー目は残して打。
2巡目
→打
染め色の面子候補は揃っており満貫が見込める。トイトイ白中の満貫もみて落しが有力か。巡目が深くなって手が伸びなければ1,000点や2,000点の手に終わってしまうこともままあるがそれはそれでよい。巡目や他家の進行状況を顧みずに無理染めに固執することは避けたい。
一色手は強力な手役だが相手に狙いを読まれやすいというデメリットがある。しかしこれについてはあまり気にしなくて良い。警戒されずに高い手を和了できるより良い手順が他にあることは滅多に無く、手が悪い時に染め手を狙って相手に警戒させるのは寧ろメリットになりうるからである。但し、既に面子候補が足りていて染め色や字牌でも不要な孤立牌が出てくる場合もある。このような牌は先に切り出して染め手を狙っていることをカモフラージュするのが有効である。また、ホンイツに決め打ちする場合、二番目に多い色から切っていく方がどの色で染めているかが相手に判るまで時間がかかる分若干仕掛けやすくなるというメリットが一応ある。
例: ポン →打
一色手は(特にメンゼンのチンイツ)は多メンチャンになりやすい。多メンチャンを素早く見抜く方法については牌効率論20で紹介したサイト 無気力無関心(仮) 「多面張理論(メンチンの革命編)」の内容を参照されたい。
染め手を狙うかどうかの判断について一応の基準を示したが、それでも実戦では判断が難しいケースは多く、強豪間でも基準が結構まちまちであるのが現状である。染め手狙いの基準に関しては以下のブログの内容も参考にされると幸いである。
チルノさんのmixi日記 「幽雅に咲かせ、無理染めの桜Aその1」より
染めの苦手な私がヒラバ染めと通常手のボーダーを探してみる。東1南家2巡目。手牌の字牌のうち2枚切れのものはない。
A役牌トイツ2以上 のその1
他の色が愚形が多いならここらへんがボーダーか。孤立字牌が切れてる、リャンメンがある、ドラがらみ愚形があるなどが重なると見切る。ハイパイ役パイ2組あれば大体染めかトイトイに行ける。
リャンメンやドラがらみ愚形があっても染めるボーダー。メンツがあったり、他の色がいい形ならテンビンで。
例えば
ドラ
→打
とりあえず。染めよりトイトイになるかも。ドラ
→字牌から
ここからドラがトイツになるのが一番楽なマンガンだろう。もたいしていらない気がするが字牌。ドラ
→染めない。2千点でいいや。ドラ
→打
たぶん染めないがとりあえずがいい気がする。ドラ
→通常モードでドラ
→打だろうかドラ
→打?ドラ
→おそらく染めないドラ
→打
これくらいから落とせるかも。他の色のリャンメン+トイツがあると染めにくいなぁ。ドラ
→染めてもよさそうドラ
→マンズ染めは無い
マンズ染めは無い。むしろソーズ染めがあるかも。ドラ
→河で判断
染めるけど保留して字牌よりは河みてどっちかに決めちゃったほうが幸せになれるかもしれない。
チルノさんのmixi日記 「幽雅に咲かせ、無理染めの桜Aその2」より
A役牌トイツ2以上 のその2
トイトイかトイツしかない他の色で染めたほうがいいんじゃないの。
染める前にはっちゃいそう。
例えば
ドラ
→打ドラ
→微妙ドラ
→打ドラ
→打ドラ
→微妙ドラ
→打ドラ
→とりあえず打か?ドラ
→打あたりドラ
→微妙に染めなそうドラ
→染めなそうドラ
→染められないドラ
→くらい切ってもいい気がするドラ
ドラ引けば十分になるのでそこまで無理しなくてもいいような。役牌×3ドラ1などもあるので浮いてる役牌を大事にしたい。
例えば
ドラ
これくらいならだけど
ドラ
ドラ
ぐらいならで。
ドラ
→打
染めなくても常に。よりひっぱるかも。ドラ
→打
染めないけど→→。
「氷室さんのmixi日記」より
1、染め色や字牌がドラの時
ホンイツは急激に強くなる。染めれば3900〜8000が簡単に狙えるからだ。多少強引でも、他家の警戒心が強くなるので悪くない。最悪リーチを入れられても1〜2枚切れ字牌などの安全牌で凌げる事も多い。(ちなみに、こちらの圧が強い時の他家リーチはクソリーが少ないので要注意。)
2、門前で手を進めてもクソ待ち1300〜2600濃厚だが染めれば2000〜5200行けるかもしれない時
いわゆるクソ手での無理染め。ホンイツは複合手役が比較的多く、チーポン自在なのでたまに成就するw。ただし、伸びが悪い時は役牌を重ねて1,000〜2,000点など、染め切らずの和了でも全然悪くない。他家の仕掛けや順目などの状況変化をあまり見ず、最後まで無理染めに固執し続ける人は結構多い。これは攻撃面のみでなく、守備面でも言える。無理染め2,000点で3つ鳴いてノーテンなどはさすがに避けよう。(他家から見ても、こっちが安そうに見える時は特に。)
3、役役(もしくは役1+生きてる字牌2〜3種)ある時
ホンイツ、トイトイ、ドラなどで3900〜8000狙うべき。せっかく役役あるのに、2,000点はチトもったいない。
4、なんとしても3900〜欲しいが、手牌がクソ
オーラスでたまにあるが、相当強引にでも染めに持ってった方が良い。(これを躊躇する人が何故か多い。)クソな手牌を伸ばした所で、どーせ3900は難しいのだからw。
ちなみに、俺の染め判断の特徴をやや大雑把に言うと・・・
1、形よりも打点に着目
意外に思われるかもしれないが、染め色の枚数はそんなに気にしてない。勿論、考慮しないという意味でなく・・・。染めを狙えば何点いけるのか?狙わなければ何点程度いけるのか?をより重視して染めるかどうかの判断にしてる。
2、大胆に狙う
染めたほうがあからさまに良し。と踏めば浮き牌や染め以外のターツから外して孤立字牌を残すなんて事は普通にやる。これはまあ・・・特徴と言えるほどの物でないかもしれないけどw。観戦してる限りでは、孤立字牌軽視して切ってる人が多いので。
3、浮き字牌
2にも関係するが、例えば浮き字牌3つ持ってればどれか1つぐらいは重なる事を考えている。厳密な計算した事は無いけど、経験的には3つ中1つ程度なら結構重なる。
4、こちらの打点や形がイマイチな時は、鳴きすぎない。安全牌も持つ。
上でも少し書いた。ちなみに、これは染めに限った話じゃない。ただ、ちょっと難しい所かもしれないけどね。元々見切り発車なんだから、それに拘って脱線する事は避けるようにしてるw。(染めはまだしも、無理トイトイは特に死にやすい。)