2面子余剰牌形

1シャンテン形(1)同士の比較

(以後、(1)、(2)と表記する場合は牌効率論44の1シャンテン形のパターンのことを指す。)

ターツオーバー形(2面子1雀頭3ターツ)であればターツ同士の比較をすることとなる。これは今までに述べたターツ落としの基準を用いれば良い。受け入れに差が無く、裏目を引いた場合にもフォローがあるのであればそれも考慮する。

一二三五六(2)(2)(6)(7)23456 →打六

裏目四引きでもタンヤオへの渡りがあるので打六

ただ、1シャンテン時にターツ(トイツ)落しをする場合に(複合ターツからどれを1枚外すかという(2)内での比較にも言える)考慮すべき要素が一つある。それは、内寄りのターツを残したほうが変化が多いが、外寄りのターツを残したほうが待ちになった時に有利になるということである。これは即テンパイするケースと変化するケースの頻度の差と、待ちになった場合の和了率との差を考慮して判断することになる。内カンチャンと外カンチャン程度の差なら和了率にそこまで差がないので内カンチャンを残すが、2・8トイツと客風トイツとなら和了率の差が大きいので後者を残すことが多い。これは場況にも左右されやすい。2シャンテン以前なら先に変化することが多いので原則通り変化の多いほうを残す。

(1)は受け入れに寄与しない余剰牌が1枚できるので、ターツ選択以外に余剰牌として何を残すかの選択がある。もちろん残す価値が高い牌を優先して残すべきである。

この時気をつけなければいけないのは、既に1シャンテンであるので、変化が受け入れと被る場合はテンパイしてしまうので、シャンテン戻しをしなければ変化を変化として受けられないということである。もちろんシャンテン戻しが有利になる場合は変化としてカウントして良いが、前述の通りテンパイからシャンテン戻しをすべきケースは多くない。(1)で五六八北北は安牌、以後他の牌姿に関連しない字牌は安牌であるものとする)とあれば八が不要なので打八。使うことのない牌は安牌と取り替える。

余剰牌の性質

余剰牌として残される牌を性質面で分けると以下のようなものがある。(他には、手牌に不要で安牌でもないが、残すことで相手の読みをミスリードさせる為の牌などもあるが、敢えて安牌より優先して残すほどでもない。)

  • 安牌
  • 良形変化を狙う孤立牌
  • 雀頭そばの孤立牌(良形変化に加え、雀頭が面子化した場合に(3)への移行を狙う。雀頭が面子化した場合に他の部分を雀頭として扱えるようになる場合は(4)になる。四四五(2)(4)(4)(5)(6)(6)(7)567から三六引きで四雀頭から(4)雀頭となるように。)
  • 手役関連牌やドラ

中盤程度までで特に場況を考慮する必要がなければ原則下にいけばいくほど価値が高くなる。余剰牌を残した故に将来その牌で放銃することになるケースはそこまで多くないので基本は自手優先であること、良形変化より打点倍増の変化の方が価値が高いというのが挙げられる。既に良形確定の場合は、良形変化を狙う牌よりは安牌優先。(3)へ移行してもそこまで有利になるわけでなければこれも安牌優先。打点、手役絡みも中盤過ぎや、他家の仕掛けに将来危険になる可能性が高いとみるなら先切りする。五六八ドラ八のように、七引きで直接使い切ってテンパイできるのであれば原則先切りはしない。

愚形残りであれば優先して安牌を持つことはない。和了率に有意差がつくので、多少放銃率が下がっても収支期待値面で有利になるとは言えないからである。余剰牌が残ったまま先制された場合に大抵ベタオリになるので、余剰牌を残したが故に放銃する結果になるケースも良形確定時より少ないというのもある。

同等の性質同士を比較するのであれば、これまで述べた内容で対処できる。(安牌同士であればより安全度が高いほうや、振り込みたくない他家への安牌を優先するように、明確な上位互換が成り立つ場合は当然上位の牌を残すようにする。)余剰牌同士の比較はターツ同士の比較よりないがしろにされがちなので注意したい。諸要素が絡んで比較が難しくなる場合もあるが、牌効率論1で述べたように、単に比較要素を列挙するのではなく、基準となる要素のうち特に重要なものについて断片的に考慮する(この時点での比較で微妙である場合、改めてより重要度の低い要素について考慮すれば良い)という原則をおさえて判断することを心がけたい。

例:ドラ北
六七九九(2)(3)(6)(7)(8)(9)(9)999 →打(6)
リャンメン確定は取るので打九か打(9)か打(6)、打九とすると打点変化無し。打(9)としての(5)引きからのイッツー目よりも打(6)としての(7)(8)(9)引きからの純チャン変化の方が質、量ともに有利((7)(8)引きは不確定かつ愚形になる可能性はあるがリャンメンリーチのみ確定よりは上)、また、九引きでも純チャン変化、可能性は低いが先に78引きは純チャン三色まで変化することもある。

浮かせ打ちをするかどうか

基本的に他に愚形ターツがあれば浮かせ打ちはせずその愚形ターツを払うほうが良いので、浮かせ打ちをするのは変化を見たいが他のターツには手がかけられない場合であることは牌効率論13でも述べた。但し、敢えて浮かせ打ちせずに別のトイツを落とす手もある。この場合は即変化した場合には対応できない。

しかし、(1)→(2)となるような牌を引けば(2)の1シャンテンにとることになるが、その場合浮かせ打ちをした場合はその余剰牌を切ることになるので変化に対応できなくなる。一方、浮かせ打ちをしなかった場合はこの後の変化に対応できる。また、先に変化する牌を引いた場合も、テンパイする前に(1)→(2)の形になれば浮かせ打ちしなかった場合も対応できるようになる。

この比較は難しい。変化する前にテンパイすれば結局同じことになるので、浮かせた牌からの変化に対し(1)→(2)の変化の方がある程度多い場合でなければ、即変化が見れる浮かせ打ちの方が変化の恩恵を受けられることが多い。但し浮かせ打ちをしている間は他の余剰牌(安牌等)を持てないというデメリットもある。巡目が深ければ、(1)→(2)への変化から更にトイツ部分がターツ化する変化という二段階変化が起こる可能性自体がかなり低くなるので、即変化だけ見る方が有利になりやすいと考えられる。ただ、巡目が深ければ安牌が持てないことのデメリットも増すのでやはり比較は難しい。これは今後の研究課題。あまり差が出ない問題なので実戦ではこのような要素よりも寧ろ場況(関連牌の切れ具合や浮かせた牌が将来危険になる可能性)から判断する方が良いとみる。

三三四五六(2)(3)(5)(6)(7)3356 →打三

三からの変化は14枚(2)への変化は12枚。56引きからマンズが変化した場合は(2)(3)が残りタンヤオが崩れやすいので浮かせ打ち有利。よって打三

四五七八九(1)(1)(3)(4)(5)4478 →打4

4からの変化は35の8枚、(2)への変化は12枚。だが打(1)として三色への変化が見れるのは78引きの6枚だけなのでこれも打4で良い。

二三四五五(8)(8)2356678 →打五、序盤:打(8)有力

五からの変化は一三四六の14枚、(2)への変化は235689の18枚。基本は打五とするが序盤なら打(8)も有力か。

ドラ2
五六(1)(1)(6)(7)33678白白白 →打(1)

浮かせ打ちの変化は24の8枚、(2)への変化は12枚。ドラそばの3を浮かせるリスクもあるのでこれは打(1)が良い。

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