麻雀は、「攻めるなら最大限攻め(ツッパ)、守るなら最大限に守る(ベタオリ)」ように打つことが、多くの局面において正しい選択となります。ただ、突っ張るとすると収支面で損な手であるが、完全にオリるわけではないという場合も自分の手牌や局面によっては有り得ますし、オリるとしても、うまくいけば和了、テンパイ(特に、終盤の他家の攻撃に対し形式テンパイを取りに行く場合)になるように打つことができるならそれに越した事はありません。このような打ち方で、他家のテンパイ(もしくはテンパイと読んで)をケアするものを回し打ち、ノーテンだが(もしくはノーテンと読むが)鳴かれることをケアするのを絞りと呼びます。
つまり絞りも回し打ちの一種なのです。
最大限攻めるとした場合何を切るかという技術は牌効率の領域です。最大限攻めるなら打○だが、○は切らない(もしくは、テンパイしたら切る等のある一定の条件を満たさなければ切らない)という条件で何を切るか、これが回し打ち、絞りにあたります。○を切らないという条件下での牌効率とも言えます。
これまでの押し引き論で述べたような攻守基準を用いて、まず最大限に攻めるべきかどうかを判断します。(絞りに関しては押し引き論1を特に参照)。最大限に攻めるべきではないと判断したら、次に回し打ちの余地があるか(あるいは、絞りつつ攻め返せる可能性があるか)を判断します。○を切らない(もしくは一定の条件を満たさない限り切らない)という条件下で手を進めることができるかどうか、ここで不可能と判断したら、最早ベタオリするより他ありません。実戦では(特に他家のリーチが入っている場合)、切れない牌が複数あることの方が普通です。切れない牌が複数孤立牌として浮いてしまったら、条件を満たしつつ手を進めることはほぼ不可能になります。故に、回し打ちをする機会は少なく、大半はベタオリすることになってしまうのです。
条件を満たしつつ手を進める為には、切れない牌を複数孤立牌として浮かさないように通せる牌を切る必要があります。出来面子の一部に切れない牌がある場合にここから打ってしまうと、もう手を進めることがほぼ不可能になります(面子の中抜き)。ベタオリする場合は仕方ありませんが、回し打ちを考える場合は、面子の中抜きはできません。
他に通せる孤立牌があればそれを切れば良いだけなので考える必要はありません。(このような場合は通常回し打ちとは呼ばない。)よって、回し打ちの手段を分類すると以下のようなものに分けられます。
※これは回し打ちや絞りというよりも攻める場合の技術ですが、牌効率上は優劣がそこまで無いようなターツ、トイツ落しの選択をする場合は、他家に鳴かれない牌を優先的に落としたほうが収支面で有利です。絞りは余り考慮しなくていいとは言え、他家の手を進めること自体は不利なことだからです。
回し打ちの具体例については Beginner's Luck 「まわし打ち」を参照。