ソバテンリーチ

一昔前までは、「リーチの宣言牌(ツモ切りリーチの場合もあるので正確には最後の手出し牌)の周辺は危険」というセオリーが広く信じられていました。『科学する麻雀』によって、このセオリーが誤り(特別危険度が上昇するわけではない)であることが示されました。

このセオリーの問題点は、リーチの宣言牌1枚だけでは、特定のパターンを想定する読みを行ううえでの情報として不十分なものである為、宣言牌の周辺以外の待ちになるケースが他にいくらでも考えられるということにあります。前回述べました通り、そのような読みが有効になる為には、特定のパターンを想定し得る(他のケースを否定する)だけの強い情報が必要になるのです。

面子手の1シャンテンのパターンは、牌効率論44で挙げたように以下のものがあります。

2面子余剰牌(即受け入れに寄与しない)形(パターン1)
一一一六七(2)(2)(4)(5)(6)(7)34

2面子完全形(パターン2)
一一一六七(2)(2)(4)(5)(6)334

ヘッドレス(雀頭無し)形(パターン3)
一一一六七(2)(3)(4)(5)(6)345

くっつき形(パターン4・5)
一一一六(2)(2)(4)(5)(6)(7)345

上記の4つの牌姿に五を引けばいずれもテンパイします。この時、最後の手出し牌の周辺が当たり牌(ソバテン)になるのは二つ目の2面子完全形の場合だけなのです。しかも、例えこのパターンであったとしても、先に(2)235を引いた場合はソバテンになりません。更に、五八を先に引く確率より(2)235を先に引く確率のほうが高いのです(六七六八なら、ますますソバテンになる可能性が低い)。このセオリーが如何に信憑性の低いものであるかがお分かりいただけるでしょう。ですから、大抵の場合は、読みの技術論2で述べたような、通っていないスジを数えるより有力な読みが出来ないのです。

逆に言えば、2面子完全形のシャンテンである可能性が高いと判るケースであれば、特定の形を想定する読みも有効になるのではないかと推測できます。仮に3を手出しで切ってリーチしてきた相手の手が必ず2面子完全形のシャンテンであったことが100%判るというのであれば、3の周辺の牌で当たる可能性はほぼ50%と言えます。(五六八八113のように、3周辺の方が待ちになりやすいケースもあるので、トータルではほぼ5割)これでも113233334357…とまだ複数のパターンが考えられますが、当たりになるパターンが多い1の放銃率は20%程度になると言えます。読みの技術論2で、通常の中盤リーチで無スジ1で放銃する確率は約8.3%としたので、これは通っていないスジを数えるだけの読みよりかなり精度が高くなっていると言えます。仕掛けて3を切ってテンパイした場合は入り目がないので3周辺の放銃率が倍になり、このような読みが更に有効になるケースが増えるでしょう。2面子完全形のシャンテンである可能性が高いケースはどのような場合でしょうか。次回からそれについて述べたいと思います。

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