点棒状況判断の原則

麻雀はほとんどのルールにおいて順位点(ウマ・オカ)が存在します。よって、一局当たりの収支期待値を最大化する打牌と、半荘当たりの収支期待値を最大化するそれとでは異なることもあります。オーラストップ目で役有りテンパイはダマというのがよくある一例です。半荘当たりの収支期待値を最大化する為には一局当たり収支期待値だけでなく、半荘終了時点での順位期待値を考慮することになるので、点棒状況を判断する技術が必要になるのです。供託や積み棒が何本あるか、祝儀比率が何点相当かによって打牌が変わることもあります。これらは一局当たりの収支期待値の領域ですが、点棒状況判断の技術であることは確かなのでここで取り上げます。

  • 点棒状況判断はレートの多寡ではなく比率によって変わる。

レートの多寡(点棒1,000点=○円という基準のこと)で打牌が変わると主張する人はたくさん居ます。低レートだったら負けても痛くないから勝つことよりも楽しむことを優先するというのであれば一理あります。しかし、勝つことを目的とするのであれば、半荘当たりの収支期待値を最大化する(=勝つ為に最善の選択を行う)ように打つべきであり、それはレートの多寡によって変化することはありません。

一方、レートの比率(ウマが1−2か1−3か、オカが何点相当か、祝儀比率が何点相当か等)によって打牌選択が変わることはもちろん有り得ます。トップのウマやオカが大きいルールであれば、下位に転落する可能性も高いがトップ率を上げる選択が他のルールよりも有効になりますし、その逆も言えます。ハンゲの四人麻雀は素点が考慮され、ウマやオカの比率も一般によくあるルールですが、他にも完全順位制(素点を考慮せず順位のみで評価する)や、沈みウマ(順位以外に持ち点によってウマの比率が変化する)を採用するルールもありますし、大会等における条件戦(優勝以外無価値なのでトップを取るしかない等)もあります。これらも、レートの比率が違う故に、打牌選択が変わることがあると言えます。

  • 終局に近ければ近いほど点棒状況判断の重要性が増す。

一局当たり収支期待値≠半荘当たり収支期待値と書きましたが、ほぼイコールとなる場面の方が多いことも事実です。特に点棒の動きのない半荘開始直前であればほぼ一局当たりの収支期待値を最大化するように打つことが最善になります。これが局が進むにつれてイコールとならない、つまり、半荘終了時点での順位期待値を考慮する重要性の高い場面が増え、オーラスではそれが最も顕著になることは言わずもがなです。

半荘当たりの収支期待値を最大化する為には、この両者を適宜組み合わせて判断することが不可欠です。しかし、これらを半荘の途中で厳密に適用することは極めて困難です。その為、この章では、順位期待値の判断については、終了時点での順位期待値を考慮することが比較的容易で、尚且つ重要性が高くなる、オーラスとラス前、オーラス以外で終局の可能性が高い(トビ寸前の他家がいる等)局面を中心に取り上げていきます。

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