デュプリケート対局

相変わらず、麻雀における運と実力について書いていきます。

同じ打ち方で1,000戦打っても平均順位にして0.05の差が出得るのが麻雀です。1,000戦打つためには非常に多くの時間を要するので、麻雀人口全体からすればそれだけ打ち込める人はほんの一部に過ぎません。では、もっと短期間で実力を測定できる方法はないでしょうか。

これについて現在考えられているのが、デュプリケート対局と呼ばれる対局形式です。これは、同一配牌、同一ツモで競技することで、麻雀における最大の運の要素である、配牌とツモのランダム性を軽減しようとする試みです。

参考文献:マッタリプログラミング日誌 「デュプリケート麻雀実現の問題点

麻雀ゲーム”まったり麻雀”では現在このデュプリケート機能が導入されています(CPUと成績を比較できる)。この機能によって、実力を測定するのに十分といえる試合数がどれくらいになるのかは判りませんが、精度の高い実力測定法の出現を望む私はこの機能に大いに期待を寄せているところです。

実際にデュプリケート対局をやってみた

まったり麻雀は現在存在する最強の麻雀CPUです(もちろんイカサマ無し)。ネット麻雀の最上卓で勝ち越せるレベルでなければ、まったりに勝ち越すのは無理でしょう。しかし、CPUならではのミスもいくつか見受けられました。

東場 南家 配牌 ドラ中
三六八(6)2339東西北白中

この悪配牌から手なりで進めても和了は厳しいので、私はホンイツを見て打(6)としました。数巡後2西が重なり、まだ和了には遠いところでしたが2をポン。そこからツモに非常に恵まれ、最終的にはこんな倍満の和了となりました。

33西西北北北中中中 ポン2曲22 ロン3

一方まったり君は字牌から切り出していくようです。これはまだ良いのですが、4巡目にドラの中以外は全てターツかトイツになってしまったのでここでもう中を切ってしまいました。流石にこれはいただけません。相手に鳴かれるどうのこうの以前に、明らかに中はまだ手の内に必要な牌です。

まったり君も手役を狙わないわけではありません。一色手を狙うアルゴリズムは存在しますし、1シャンテンの場合は速度だけでなく打点も考慮したうえで打牌選択を行います。問題はテンパイに遠い段階です。テンパイに遠い段階から全ての変化を計算に入れると計算量が爆発的に増えてしまいます。その為、1シャンテンからは変化を読むが、それ以前はほぼ手なり(直接の有効牌が最も多くなるように打つ)で打つような思考ルーチンになっているのです。しかし実際は、テンパイに遠い段階こそ手役をみつつ打ち進める技術が重要になってくるのです。

いくら有効牌が多いといっても、最低でもメンゼンまたは役有りテンパイに結びつくだけの有効牌を引かなければ意味がありません。単純に手なりで打って有効牌を増やしても和了率はほとんど増えないのです。また、手役を確保して仕掛けが利く形に持ち込むことができれば、アガリに結びつく有効牌が実質何倍にもなったことになります(しかも手なりで進めた場合より高打点になりやすい)。上記の手から第一打(6)、テンパイに遠い段階からの2ポンはこのような考え方からくるものです。手の悪いところから仕掛けが利く形に持ち込むような手作りの仕方はCPUの苦手とするところのようです。計算量が膨大になりかねないという問題だけでなく、仕掛けが利く形になることをどう評価させるかも難しいところです。人間であればこのような場合”直感”で対応できます。しかしもちろんこれにも限界があります。悪いなりに手なりで進めた方が良い手もあるでしょうし、もっと意外な手作りが有効になる手牌もあるかもしれません。強豪間でも序盤の打ち方に関してはかなり分かれることもある以上、まだまだ体系化できる段階には到っていません。このような体系化が難しい分野で少しでも相手より高い精度で打牌選択を行えるようになるることも、上達の為に重要なことかもしれません。

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