一貫性

一貫性という概念は必要なのか

これもまた、用語の定義で真偽が変わりかねないので、予め定義付けを行います。

定義1:同じ状況(あるいは、その選択をすることがより有利になる状況)では常に同じ選択をすべきという概念

この定義であれば、麻雀で正着を打つ為に必要であると言えます。しかし、あくまで同じ状況で同じ選択をするということに注意しなければなりません。 判断が変わるだけの状況の変化があれば当然選択は変わります。

定義2:当初の目的に応じた選択をすべきという概念

このような一貫性は不要(それどころか却って害になる)です。何故なら、目的というのは手牌、状況によっていくらでも変化するからです。点棒的にリードしている局面であればタンピンの1シャンテンから鳴いてタンヤオのみで良しとすることは多くなりますが、メンゼンでタンピンのテンパイになった場合に、“局流し”が目的だからと言ってダマにするのは明らかに損です。メンゼンでテンパイした時点で、“更にリードを広げる”ことを目的にすべきなのです。

一貫性もまた流れと同様、定義1と定義2を混同して用いられることがしばしばあります。〜という状況下でもこう打つのだから、この状況では尚更こう打つべきであるといった説明することなしに、やたらと一貫性を強調する打ち手がいることはまさにその典型と言えます。

  • 一貫性(定義1)という概念は必要だが、そこまで固執しなくともよい

定義1の意味における一貫性のない打牌選択は、少なくとも最善ではありません。しかし、一貫性があるというだけでは正着である保証にはなりません。一貫性はあくまで、正着である為の必要条件にすぎないのです。

前回の連盟のコラムの中で筆者が、打(5)として一旦ダマにし、数巡後ツモ切りリーチとした一貫性のない打牌を悔いていますが、数巡経った後でもまだリーチが有利なのであれば、一貫してダマテンを続行するよりもましな選択です。(少なくともこのコラムでとりあげられている打(8)ダマよりは遥かによい。) 判断が変わるだけの状況変化が無いにもかかわらず打牌を変えることは顕在的なミスであることは自覚すべきです。その為にも、一貫性という概念自体は必要です。しかし、そのことを理解しているのであれば、一貫性自体に拘る必要はありません。あくまでその時点で最も有利な選択を行えばよいのです。

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