好牌先打ち

自分の手に不要な牌が複数あれば、相手にとって有用度の高い牌を先に切るべきなのは以前にも話したとおりです。ここでは、自分にとって必要な牌を、将来危険になる可能性に備えて安牌を残して先に切るべき状況があるかについてです。

序盤での好牌先打ちの必要性

西家 1巡目 ドラ(1)
二五(1)(2)(2)(6)(6)78南南北白發 →打二

このような手であれば北 よりも先に二を切ります。ですが、これは手が悪いから北を安牌用に取っておくというよりも、ピンズのホンイツや七対子があるので、北の方が二より必要度が高いと判断したから北を残したのです。このような、メンゼンで早いテンパイが組みにくい手であれば、役牌の重なりや一色手、トイツ手を見る手作りをすることになるので、字牌のような、将来他家の安牌として用いることのできる牌を有効牌として用いることができるので、安牌を残すことをケアしなくても済むようになるのです。また、出現頻度は減りますが、仕掛けての三色、イッツー、チャンタ系の手も、必要な牌が限定されるので、結果として安牌を持ちつつ手を進めやすくなります。中盤のリーチに安牌3枚あればほぼオリ切れます。字牌トイツ+何か1枚現物で3枚になるので、凌ぐことは容易でしょう。

一方、メンゼンリーチが十分狙えそうな良い手であれば、序盤から安牌を残すことはただ自分の和了率を下げてしまうことになります。序盤から手を狭めて安牌を残す必要はまずないと言えます。

1シャンテンでの好牌先打ちの必要性

西家 中盤
二二三七八(3)(4)(5)(7)(8)(9)11北 (北は共通安牌) →打北

二の危険度は巡目が深くなればなるほど上昇します。しかし、二を先に切ることによる和了率の低下の度合も、巡目が深くなればなるほど増えます。(牌効率論で述べたとおり、巡目が遅いほど、受け入れ枚数の差が大きくなるのです。)流局間際であれば、形テン狙いのために、やはり二を先きりはしません。よって、二を先に切るべき巡目は存在しないのです。

西家 中盤
二三五六(3)(4)(5)(7)(8)(9)116北 →打北

直接の受け入れではなくて、間接的に受け入れを増やす牌(57引きで4枚増える)の場合はどうでしょうか。このような6であれば、12巡目以降であれば、将来放銃することを避ける為に先に切って安牌を持つのとの優劣が微妙になると『科学する麻雀』には書いてあります。

しかしこれは、その時点で先切りしても失点しないことが前提になっています。そもそも12巡目以降であれば、今6は通っていて、将来6が当たり牌になり、尚且つ自分が567より先に一四七を引いて放銃するケースはかなり稀です。実際はこの時点で6を切ることで仕掛けやダマに放銃したり、仕掛けられてテンパイを入れられて失点する可能性もあります。このケースであれば、将来一四七を引かなければ失点を回避できることになります。後者のケースもそんなに多くはありませんが、この場合を想定しなくても微妙な差なのですから、他に条件がなければ、1シャンテンの時点で有効牌を先切りするケースは無いと言って良いでしょう。

好牌先打ちが必要なケース

では、どのような状況であれば先切りすべきでしょうか。それは、6が現在通っていて、将来6が危険になる可能性が特に高いと読める場合です。例えば、ソーズの一色手を狙っている他家がいる場合などです。この場合、57引きでソーズでターツが出来ても上がり易くなったとは言えないというのもあります。

中盤以降で2シャンテン以下の場合はどうでしょうか。中盤過ぎても2シャンテン以下で、しかも受け入れが狭く、喰い仕掛けもできない手であれば、自分の和了はかなり厳しいと言えます。このような手であれば安牌を持つのが賢明です。しかし、1枚安牌が増えただけで放銃を免れるケースは多くありませんので、結局安牌を数枚抱え込むことになるので、ほぼベタオリと同様になります。

ダマテンに警戒すべきかどうかも、安牌を残すべきかどうかと同様のことが言えます。中盤過ぎてもまだ2シャンテン以下の手狭な手である時や、振りさえしなければいい時だけ警戒すれば良いです。

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