まず前回の有効牌の定義について再確認します。
一次有効牌‥シャンテン数を下げる牌
二次有効牌‥一次有効牌の量を増やす牌や質を上げる牌、またはシャンテン数はそのままで手牌の打点を上げる牌
三次有効牌‥二次有効牌の量を増やす牌や質を上げる牌、またはシャンテン数はそのままで手牌の守備力を上げる牌
前回お話しましたように、次元の違う有効牌を並列して取り上げることで有効牌の多さを強調し、手変わり待ちを推奨する解説には注意する必要があります。その一例として、7月15日号の福田プロのコラムの牌姿と解説を取り上げてみます。
東家4巡目 ドラ
福田プロはここから打ダマとしてツモを見つつ、ピンズやソーズの中張牌を引いたらテンパイを崩して良形変化を目指すとしています。確かにピンズやソーズの中張牌を含めればかなりの有効牌がある一方、アガリ牌(一次有効牌)は1種しかありません。これだけ見れば手変わり待ちが良さそうにも見えます。
しかし、ピンズやソーズの中張牌が実際に有効に働くには一度テンパイを崩した後でさらに(良形で)テンパイする必要があるので、実質的には三次有効牌です。この為有効牌としての価値は大きく下がるので、実際はほとんどのケースで一次有効牌と二次有効牌のみを比較すれば打牌の優劣を決めることができます。
二次有効牌となると、両面変化のと、タンヤオがつくの2種しかありません。そして、例え序盤であっても、手変わりを待つのに2種では少なすぎます。(具体的に何巡目でどの程度の手変わりがあれば手変わり待ちが有利になるかは、「科学する麻雀」あるいは現代麻雀技術論の内容をご参照下さい)。よってこの手は打リーチ(赤有りなら打リーチが有力、祝儀有りなら尚更)が正着です。
先制テンパイなら多少つまらない手でもリーチを打つ方がほとんどのケースで有利になるのです。