1シャンテン時の対応

今回は、1シャンテン以前の段階で他家からリーチが入った場合の押し引きの基準について述べます。

1巡辺りのテンパイ確率

この場合、打点だけでなく、手広さ、即ち1巡辺りのテンパイ確率が基準として特に重要になります。

1巡辺りのテンパイ確率は、(テンパイする牌の枚数)×5/6で概算されます。5/6とは100/(麻雀牌の総数136枚-自分の手牌14枚−ドラ表示牌の1枚=121)の近似値です。勿論、他家の河次第で多少変動しますが(他家に使われていそうな牌は山に残っている確率が減り、使われにくい牌は増える)、目安として用いるには最適です。例えば、テンパイする枚数が18枚の1シャンテン形であれば、1巡辺りのテンパイ確率は18×5/6=15%となります。枚数に5/6をかけたものが1巡辺りのテンパイ確率と覚えておけば計算し易くなると思います。

1巡辺りのテンパイ確率約10%(テンパイした場合は必ずリャンメン)の場合(以後、1巡辺りテンパイ確率n%を単にn%と表記)

二三九九九(4)(5)66789南のような形がこれに当てはまります。(厳密には一四(3)(6)の見えている枚数が4枚未満なら10%よりは高くなる)このような手から勝負するとなると、『科学する麻雀』によれば、巡目によらず放銃率が和了率を上回り、終盤では倍近い差になります。12巡目に子のリーチに放銃率7%程度の危険牌を切って1シャンテンを維持するとしても、18,000点程度ないと局辺り収支面で損になってしまいます。テンパイと1シャンテンに天と地程の差があるということ、リャンメン×2の1シャンテンがそう手広いわけではないことが良く分かる状況です。

ただ、実際は中盤で子で跳満(12,000点)クラスが確定している手なら攻めて良いでしょう。何故なら、跳満クラスの手というのは、チンイツ等の大物手役か、手役+ドラ3、役無しでもドラが5枚程度あるような手に限られます。チンイツ等の大物手役であれば喰い仕掛けも効くのでテンパイ確率は10%よりは余程高くなりますし、自分の手にドラが大量にあれば、その分相手の打点は低くなるからです。

20%の場合

四五六七八(2)(2)(3)78999のような形がこれに当てはまります。また、リャンメン×2の1シャンテン形で仕掛けが利く場合もこれです。このような手から勝負する場合は、12巡目程度で和了率と放銃率が同程度になり、それ以前は和了率のほうがやや高くなります。中盤でリーチに放銃率7%程度の危険牌を切ってシャンテン維持するのに、リーチ者と同程度の打点が見込めることが必要になります。これなら攻めにいけるケースもそこそこありますが、それでも、愚形テンパイから攻めるよりも不利な勝負になるのです。如何に先制テンパイが強いかが判ります。

20%を超える場合

科学する麻雀』には上の二つの例のみが取り上げられていたので、1シャンテンから攻めるケースはほとんど存在しないような印象を受けますが、実際はもう少し攻められるケースも存在します。テンパイ確率が更に高い場合です。上の二つは、それぞれ牌効率論44で挙げたパターン1・2の形です。これがパターン3・4のような形であれば、1巡辺りテンパイ確率が20%を超えることもよくあります。

一一一五六七八九(4)(5)(5)(6)(7)(パターン3 約33%)

四五六七(4)(5)(6)(7)22789(パターン4 約48%※愚形の可能性もあるが)

先に挙げた牌姿とテンパイチャンスがかなり違います。この差は相手に先制されている場合は更に大きな差となります。(他家のテンパイが入っている場合先制時に比べ打点より良形重視であったように、1シャンテンの段階での手広さが収支で大きく差がつくのです。)

これぐらい手広い1シャンテンから攻めるのであれば、愚形テンパイで追っかけるよりも分の良い勝負になります。なので、特に危険度の高い牌を引かない限りは、こちらもテンパイしているぐらいのつもりで押し引きを決めて構いません。(ドラドラならほぼゼンツ、のみ手の可能性が高ければオリも考える。)

仕掛けられる場合

大抵の1シャンテンから攻めるよりは、安手でもテンパイから攻めたほうが有利ということが以上から判ります。ですから、1シャンテンの段階で他家のテンパイが入り、他家から鳴けばテンパイに取れる牌が出た場合、どうしてもメンゼンで大物手にしなければならない場合や、勝負するには分が悪いのでオリるつもりでなければ(オリ本線でメンゼンで運良く大物手になった場合のみ勝負する場合も含む)まず鳴いてテンパイを取るのが正着です。

三四五(3)(4)(4)(5)(5)(8)(8)45北

メンゼンで跳満クラスが見込め、平場ならできるだけメンゼンで仕上げたい手であるが、他家のリーチが入っているのであれば、鳴いてクイタンのみの1,000点でも良しとすべき。

10%未満の場合

1巡辺りテンパイ確率10%の1シャンテンから攻めるのが大抵の場合不利なのですから、更に手狭な1シャンテン(七対子の1シャンテン等)や、2シャンテンから攻めるべきケースはほとんどありません。振っても順位が落ちない、安牌0枚、攻めにいける1シャンテン形にすぐになる2シャンテン形(自在に仕掛けられるチンイツ等)である等かなり限られた場合くらいです。

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