手役読み1

これまで述べた待ち読みは、主に他家がメンゼンで手なりのテンパイ(早いテンパイを目指しつつ、良形の成りやすさやドラについては速度が落ちない(シャンテン数が落ちたり受け入れを大幅に狭めることはしない)程度に重視することを前提としたものでした。その為、手役を狙った場合は例外もでてきます。

仕掛けている場合は特定の手役を狙っていることを読むことは比較的容易です。それについては押し引き論24の内容を参照下さい。

仕掛けている場合、河によっては出現頻度が非常に低い役が本当に出来ていることが読めることもあります。東南を鳴いている他家が發を手出しでトイツ落とししてきたらどうでしょう。

トイツはホンイツにしろトイトイにしろ絶好のトイツです。發のトイツを落とすほどの手であるとすれば、もう四喜和狙いで、西北をトイツ以上で持っていることが濃厚です。(同様に、曲423チー 發發曲發ポンで役牌トイツを落としてくれば緑一色、1と9を鳴いて役牌トイツを落としてくれば清老頭。)

しかし仕掛けている場合と異なり、メンゼンの場合に手役狙いを読むことは困難です。字牌(特に役牌)トイツを落としていたらピンフ、タンヤオの可能性が高いというように、出現頻度の高い役に関しては読めることも多いですが、出現頻度の低い役を読むことは多くの場合不可能です。三色やイッツーのように河に特徴が出辛く、狙っていたとしても崩れやすい役を読むことは特に困難です。精々、リャンメンを落としてのリーチなのでリャンメン待ちが濃厚であり、三色やイッツーの愚形待ちだったとしてもこの牌(リャンメンでは当たらない牌)で当たることはないなどと読める程度です。

捨て牌に4・5・6牌が多い「怪しい捨て牌」であれば変則手狙いであることも確かに増えますが、これだけでは押し引き論13で挙げたように牌の危険度の序列自体は変わりません。捨て牌に4・5・6牌が多いだけでは、配牌の時点で不要なヤオ九牌が少なく、手なりで進めた手であることを否定できないからです。(そして、このようなケースはレアケースとは言えない。)変則手が読める為には、手なりで進めたことも否定できるような河になっている必要があります。

出典:「第1回 ロン2カップ 第2回戦
2回戦 南1局 ドラ(2)
佐々木プロの捨て牌 9 (6) 6 7 y一リーチ (いずれも手出し)

67のリャンメンターツより西を後まで残していることがポイントです。西が数牌であれば、読みの技術論12から、宣言牌の数牌の周辺が本線と考えられますが、西アンコのヘッドレス形で無い限り、手なりで進めた手であることは考えられません。故に手役関連で西が必要であったことになり、このことと捨て牌を合わせると、狙った手はマンズの一色手か七対子(西より優先する単騎待ちであることから北単騎かドラ単騎の可能性大)に限定されます。この局は親の藤崎プロが七対ドラ単騎で七を勝負して跳満(リーチ・メンホン・ダブ南)への放銃となりました。親の七対ドラドラなら放銃もやむなしかもしれませんが、これが安手のテンパイであったら、七で振る可能性は高く(待ちが限定されているので)、振ったら高いことが明白なので、親とはいえオリるのが無難な選択でしょう。

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